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■ トラブルの事前防止がどこまで出来ているか?②


 前回に続き、トラブルの事前防止策の代表例を列挙させていただきます(前回は、「宿泊約款」「個人情報保護指針」「ハラスメト」についてお話させていただきました)。
 まず、「取引先から渡された契約書にそのままサインしていないか」という点です。
 契約書の記載内容が曖昧であったがために後々のトラブルに発展してしまうというケースはよくあります。「これまではなんとかなっていた」「取引先を疑うようで気が引ける」という気持ちも沸いてきてしまいます。ただ、契約書の内容について双方がよく話し合うことは「お互いに気付いていなかったトラブルの種を事前に摘むことができる」という意味で、まさにwin-winの関係なのですね。
 次に、「就業規則は周知されているか」という点です。
 就業規則は、作っておくだけでは意味がなくて、それを従業員に周知しておく必要があります。仮に作っておいたとしても、後々になって従業員から「そんなものの存在は知らなかったし、確認することもできなかった」と言われてしまう可能性があり、その場合様々なトラブルが発生するおそれが出てきます。例えばそれぞれのPCに入れておいたり、ファイルにして戸棚に入れておいたりといった形で、従業員の誰もがすぐに確認できるようにしておく必要があります。さらには、雇用契約書などに「就業規則は○○に置いてある」などと記載すればより安全です。
 また、「会社株式の所有者は明確に把握できているか」という点も意外と見落としがちです。
 上場企業ではなかなか難しいと思いますが、意外とすぐに全部思い出せない(割合まで含めて)という方もいらっしゃるのではないでしょうか。普段は問題ないのですが、いざ会社の経営を引き継ぐ、いわゆる事業承継の際に株式が分散しているなどの問題が浮き彫りになり、大きな問題に発展する可能性もあるので、注意が必要です。

 

―弁護士より一言―

 新型コロナウイルス「第6波」が猛威を振るう状況です。
 ウイルス自体には十分な警戒が必要だと思いますが、今回は「過剰な警戒をして経済を停滞させることのリスク」を強調する方や機関が多い気がしております。
 「まん延防止」が不要という見解や、旅行を控えてもウイルス抑制には効果がないという情報も出てきています。
 どの見解、どの情報をどこまで信じるかはそれぞれですが、引き続き「適切な警戒」を続けていく必要がありそうですね。

​(文責 旅館・ホテル業界に強い弁護士 佐山洸二郎)

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