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■ 重要なやりとりは、形に残すべし?
皆様もお聞きになったことがあるかと思いますが、日本の法律では「契約は口約束だけでも成立する」のが原則です。
実は、契約書などがなくても、契約自体は成立するのですね。…もっとも、だからといって「口約束で良い」というわけではありません。
口約束で契約自体は成立していたとしても、後でそれを証明するものが残っていなければ、結局は「契約が成立していなかったのと同じこと」なんていう結果に終わりかねないのです。
例えば、口約束で100万円を貸した後、「貸した100万円を返して欲しい」と要請したところ「この100万円は借りたのではなくもらったものだ」と言われた場合…実は、貸した側が、貸したものであることを証明しなければならないのです。
…「そんな馬鹿な!」と思ってしまいますよね。
ここまでシンプルな事件は少ないですが、世の中の複雑な事件、例えば「不動産オーナーとホテルオペレーターの運営契約」「キャンセル料の値段やそもそもそれが発生するのか」「清掃業者や設備点検業者との間の業務委託の値段や範囲」などを巡る争いも、元を辿ると「言った言わない」の争いであることが非常に多いのです。
一番ベストなのは、やはり「契約書」をバシッと作成しておくことです。
100万円を「いつ渡して」「いつまでに返してもらう約束にしていた」ということが契約書に残っていれば、上記のケースでも泣き寝入りしないで済みます。
そして…意外に思われるかもしれませんが、例えば「メール」「ライン」などのやりとりも、法的には非常に重要な意味があります。裁判になり、ラインの画面のやりとりを証拠として提出するということもよくあるのです。その一方で、「対面でのやりとり」「電話」については、録音してでもいない限り、裁判ではあまり意味を持ちません。
まずはトラブル防止のために、そしてトラブルになってしまった際のために…ベストなのは「契約書を残すこと」、ベターなのが、「メールやラインなどで残すこと」、そして…「対面や電話は録音が無い限りあまり意味がない」ということになります。
―弁護士より一言―
緊急事態宣言が明けて、街の賑わいが戻ってきたように思います。旅行についても、個人旅行に加えて、修学旅行が再開し始めているというのが、非常に大きいと思います。
このまま、ホテル・旅館業界や飲食業界に活力が戻ることを期待したいと思います。
私個人としても…顧問先様への出張が解禁できるのが非常に楽しみなところです!
(文責 旅館・ホテル業界に強い弁護士 佐山洸二郎)