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■ ホテル・旅館、宿泊者様、旅行代理店は三角関係?
皆様のようなホテル・旅館業界と非常に近い関係性にあるのが、旅行代理店です。
普段から協力関係を保ってらっしゃる皆様も多いのではないかと思います。
ただ、法的な目線でホテル・旅館業界の関係性を見てみると意外に複雑で、そこに宿泊者も合わさって三角関係となると、実は法律やこれまでの前例でも確固たる結論が出ていない(!)という現状なのです。
そして実は…この曖昧な状況により、「キャンセル料を誰が負担するのか」という点で争いになってしまうケースすらあるのです。
少しだけ詳しくお話をさせていただくと、「ホテル・旅館と旅行代理店」の間は、ホテル・旅館が旅行代理店に宿泊券(クーポン)を発行するという関係です。一方で「旅行代理店と宿泊者」の間は、旅行代理店が宿泊者から申し込みを受けて宿泊券(クーポン)を渡すという関係です。そして「ホテル・旅館と宿泊者」の間は、まさにホテル・旅館が宿泊者にご宿泊いただくという関係です。
ここで一つ疑問として浮かび上がってくるのは…この三角形の中で、「宿泊契約」はどこに成立しているのか?という点です。この宿泊契約の申込者こそが、万が一のキャンセルの際にキャンセル料を支払う責任を負うことになるからです。
常識的に考えれば、ホテル・旅館と宿泊者との間で宿泊契約が成立し、宿泊者自身がキャンセル料を支払うことになるような気がしますし、大半はそのような結果となります。
しかしその一方で、実はホテル・旅館と旅行代理店の間で宿泊契約が成立し、旅行代理店がキャンセル料を負担しなければならないケースもあり、実際にそのような裁判例もあるのです。
実際どちらになるかは、ホテル・旅館と旅行代理店との間の契約書の内容次第というところが多いです。なので、私もいつも顧問先の皆様からは、まずはその契約書をいただくようにしているというわけです。
―弁護士より一言―
ついに、大部分の地域で出されていた緊急事態宣言が解除になりました。このコロナ禍で、顧問先の皆様とも暗い相談や話題が多かったように思いますが、解除後に向けて明るい相談が増えてきたように思い、とても嬉しく思っています。ただ、油断すればすぐに「第6波」が来襲しそうな気配も。。明るい相談や話題が増えて喜ぶ一方、第6波を招かないためにも、引き続き細心の衛生対策を行っていかなければなと思う今日この頃です。
(文責 旅館・ホテル業界に強い弁護士 佐山洸二郎)