
弁護士による ホテル・旅館業支援サイト
■ 大量の荷物であっても預かる必要があるか?
ホテル・旅館で、お客様の荷物を一時的にお預かりするということ自体はよくありますよね。(私もお客様の立場で、よくお世話になっております!)
ただ、例えば大量の荷物を預かることをお願いされたり、ましてやそれが継続的に続くなどの場合であっても、荷物は預からなければならないのでしょうか?そもそも、ホテル・旅館側に荷物を預かる義務はあるのでしょうか?
実は、この点を明確にルール付けている法律は存在しません。
ただ、一応の正解としては「預かる義務はない可能性が高い」という結論になります。
少しややこしいお話をすると、お客様に泊まっていただく契約(宿泊契約)と、荷物を預かる契約(寄託契約)は、法的には全く別のものなのです。
ですので、現在の世の中では、荷物を預かる契約(寄託契約)は、宿泊契約の延長としてのサービスとして行われているという状況で、要するに荷物を預かる法的な義務は特に無い可能性が高いのです。
やはりお客様に快適にご宿泊いただくのが基本ですので、サービスとし荷物を預かるというのはとても重要なことだと思います。
その一方で、やはり大量の荷物を預けられてしまうことにより、ホテル・旅館内の場所が圧迫されてしまっては大変です。
上記のように、荷物を預かる義務があるとはいえないので、その場合は丁寧にお断りすると共に、お近くの倉庫やロッカーなどをすぐにご案内できる状態にしておくとベストかと思います。
法律の解説になるとどうしても堅苦しくなってしまいますが…ただ「法的に預かる義務は無い」というのではなく「法的に義務がなくても、サービスとして預かって快適にご宿泊いただく」という姿勢が重要なのですね。
―弁護士より一言―
未だに収まる気配の無いコロナ禍ですが、皆様のホテル・旅館の調子はいかがでしょうか。私がうかがっている範囲だと、同じ宿泊業界でも、観光向けか出張向けか、観光向けの中でも日本人向けか外国人向けか、出張向けの中でも商談用か現場視察系かで、コロナ禍の影響は大きく異なるようです。
本当ににくたらしいコロナウイルスですが、私も、何かホテル・旅館業界のお手伝いができないかとヤキモキしながら、色々な策を考え続けているところです。
(文責 旅館・ホテル業界に強い弁護士 佐山洸二郎)
