■ 客室内の貴重品が盗難にあったら?


 これもホテル・旅館業の皆様からよくあるご質問の一つですが、お客様が客室内に保管していた貴重品が盗難にあってしまったら、ホテル・旅館側は責任を負わなければならないのでしょうか?常識的に考えれば「お客様自身のミスであって、ホテル・旅館の責任は発生しないのでは…?」と思ってしまいがちです。ただ、商法という法律では、客室内での盗難であっても、ホテル・旅館が責任を負うことがあると定められています。
 そしてこの点を巡って、なんと裁判にまで発展してしまったケースもあるのです。
 これまでの裁判例を色々と見てみると、最終的には「ホテル・旅館側とお客様側で、どちらにどの程度のミスがあったのかによって、それぞれ割合的に責任を負う」という結論がほとんどになっています。
色々なケースが考えられますが、例えばお客様自身が鍵を紛失してしまい、その鍵を拾得した者が客室に侵入して貴重品を盗んでしまったようなケースでは、お客様の責任が大部分、または全てとなる可能性が高いです。その逆にホテル・旅館側でマスターキーを紛失し、そのキーを拾得した者が客室に侵入して貴重品を盗んでしまったような場合、ホテル・旅館側の責任が大部分、または全てとなる可能性が高いです。
 難しいのはどちらにも責任がありそうなケースです。過去の裁判例にあった事例では、鍵がかけられていなかった客室にあった貴重品が盗まれてしまったのですが、そもそも宿泊施設側がお客様に鍵を渡さず、そしてお客様側も宿泊施設側に鍵を求めていなかったという珍しいケースがありました。この事例では、宿泊施設側に8割、お客様側に2割の責任が認められています。
 いずれにせよホテル・旅館業の皆様としては「鍵をしっかり渡すこと」「マスターキーは厳重管理すること」「お客様不在の客室が施錠されているか出来るだけ確認すること」などの注意を怠らないことが重要ですね(皆様から「当たり前のことじゃないか!」と怒られてしまいそうですが。。)

 

―弁護士より一言―

 まだまだコロナ禍は続いてしまいそうですね。緊急事態宣言も延長となる可能性が高そうです。ただ明るいニュースとしては、ワクチンの開発がどんどん進んで、いよいよ日本でも使える日が近付いてきているようです。開発者の皆様には、本当に頭が下がります。。未知のウイルスに対抗できるワクチンを開発できるなんて、本当に格好良いです。こういう開発者の皆様によって世の中が良くなっていると思うと、私も法律面から少しでも世の中の皆様のお役に立てるように頑張らねばと気が引き締まる思いです。

​(文責 旅館・ホテル業界に強い弁護士 佐山洸二郎)

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