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■ 宿泊契約とは?
何気なく日常生活を送っていても、その裏には、法律上の契約関係が潜んでいます。
例えばコンビニエンスストアでおにぎりと水を買う時にも、まさにレジカウンター上で「おにぎりと水の売買契約」が成立しているのですね。
今回は、ホテル・旅館特有の「宿泊契約」についてのお話をさせていただきます。
契約契約と堅苦しい表現をせずとも、要は「お客様がホテル・旅館に宿泊するということでお互いが約束すること」をいいます。
「契約」と言っても、絶対に契約書などの書類が必要というわけではなく、法律上は「口約束のみ」で成立するとされています。
宿泊契約で言うと、「宿泊したい」という「申し込み」と、「宿泊していただけます」という「承諾」があった瞬間に宿泊契約が成立することになります。
インターネット上の場合は、「お客様側の申込」と「宿泊施設側の予約完了メールリアクション」によって、宿泊契約が成立いたします。
この宿泊契約が成立して初めて、「ホテル・旅館側はお客様を宿泊させたり料理を出す義務」が生じ、「お客様側は料金を支払う義務」が生じるのですね。
もちろん、キャンセル料の発生根拠もまさにこの「宿泊契約」です。
ホテル・旅館とお客様との間の全ての法律関係は、全てこの宿泊契約が出発点となっております。
例えばホテル・旅館の受付で長文の契約書をお互いにチェックして署名押印をして…みたいなことはほとんどありません。なので、なんとなく「契約」というイメージは薄いと思いますが、立派な法律上の契約が成立しているのですね。
日々の業務の中でも「あ、今この契約が成立したのかな」とわかるだけで、少しだけでも新鮮な気分になっていただけると幸いです!
―弁護士より一言―
大学で法律の勉強を始める前までは、日常生活に潜む「契約」なんて全く意識していませんでした。契約というものは、契約書にサインをして初めて登場する概念だと思っていたのですね。ただ世の中のほとんどのやりとりの裏には実は契約が成立しているというのを知って、目からウロコでした。
コンビニでおにぎりを買った時に「買主には売買代金支払義務が生じて」「売主にはおにぎりの引渡義務が生じて」…と考えると大袈裟ですが、世の中の法律トラブルの全ての原型がここにあるのですね。
(文責 弁護士 佐山洸二郎)