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■ 工作物責任とは?
旅館・ホテルの経営上よく遭遇する法律問題に「工作物責任(民法717条1項)」というものがあります。
いきなり「工作物責任」なんて言われても「何のこっちゃ」という感じですよね。
「工作物」というのは、建物、石垣、プール、温泉、床、階段、その他諸々の設置物を意味します。
そしてこの工作物責任というのは、「普通であれば有しているはずの安全性を欠いていた場合に、その所有者などが責任を負う」という法律原則なのです。
つまり…「お客様が浴場で滑って怪我をした」「駐車場の縁石でお客様の車が傷ついた」などといった場合に、旅館・ホテル側が損害賠償責任を負う可能性があるのですね。
何より、せっかく宿泊して下さっているお客様の思い出を滅茶苦茶にしてしまいます。それだけは絶対に避けたいことですよね。
このような事態を防ぐためには、ずばり「設備の安全性を常にチェックする」ことが重要となります。…「当たり前の事を言うな!」という声が聞こえてくるようです。。
ただ、この当たり前の事が出来ていないがためにトラブルに発展してしまうということは実際にあることなのです。まずは、設備の安全性が失われていないか、念のための点検をされることをお勧めいたします。
また、万が一事故が起こってしまった場合、お客様への慰謝料や治療費などの各種損害賠償金が発生する可能性が高いです。
その際に備えた保険に加入されていることがほとんどだと思いますが、契約がしっかり続いているか、そしてその内容がどうなっているか、こちらも一度点検いただいておくとより安全かと思います。
―弁護士より一言―
民法717条1項の条文を見てみると…「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」だなんて書かれております…。。
…一読しただけでは何が何だかわかりませんね。
法律の条文がこのように読み辛くなってしまうのは「端折らずに全ての言葉を並べなければならない」という理由もあるのですが、今後も出来るだけ噛み砕いてご説明させていただければと思います。
(文責 弁護士 佐山洸二郎)