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004 「馬つなぐべからず」

更新日:2019年2月25日


 司法試験の論文式試験では、六法を自由に見ることができます。これを言うと「えっ、六法見てもいいなら試験で何を書くの?」という反応をなさる方もいます。おそらく「司法試験=あの分厚い六法を隅々まで暗記する試験」というイメージがあるためかと思いますが、たしかに私自身も勉強を始める前まではそんな風に思っていました。しかし…そんなことはとても不可能です!というより、やりたくありません…。

 この点を考えるにあたって参考になる例が我妻榮博士の「法律における理窟と人情」の中に出てくる「馬つなぐべからず」という例え話です。

 木の近くの、とある場所に「馬つなぐべからず」という立札がある。では、牛はつないでよいのか。立札の言葉自体からははっきりしません。

 かかる疑問を解決するためには、この立札が作られた本来の目的を考える必要があります。例えば、「動物が小便や糞をして汚れて困るから立札を作った」のか「馬が蹄鉄で木を蹴って困るから立札を作った」のかという具合にです。

 前者が目的だったとすれば「牛も小便や糞をするからつないではだめだ」ということになりますし、後者が目的だったとすれば「牛は蹄鉄で木を蹴らないからつないでもよい」ということになります。

 ここで話を司法試験に戻します。例えば試験の中で「…ではここに牛をつないでよいか。」という問題点を発見したとします。ですが六法を見てもそこに書いてあるのは「馬つなぐべからず」という条文だけです。牛をつないでよいのかだめなのかは一向にわかりません!そこで、色々な事情を考慮し、ああでもないこうでもないと理屈を組み立てて、最終的に牛をつないでよいのかという判断をすることになるのです。したがって、六法自体は問題解決のとっかかりに過ぎず、結局は自分の頭で考えて問いに答えなければなりません。

 そして現実に起こるのは、馬か牛かという単純な問題ばかりではありません。様々な事情が複雑に絡み合ったややこしい問題が、日々、これでもかというくらい発生しているのです。「事実は小説より複雑なり。。」とでも言いたくなります。弁護士を始めとする法律家は、六法片手に毎日このような問題と格闘しているというわけです。



 前回「ミルクコーヒーを飲むと腹を下す」という話を書いて以来、なんとなく悔しくなりその対抗策を色々と考え始めてしまいました。そして「豆乳ラテ」という飲み物の存在を思い出し、コーヒーに豆乳を入れて飲んでみたら…これ美味しいですね!「豆乳ラテなんてどうせカフェラテの出来損ないだろう(笑)」という先入観を見事に吹き飛ばしてくれました。以来、毎日コーヒーに豆乳を入れて美味しく飲んでいます。なお、紅茶に豆乳を入れた「豆乳ティー(?)」もお勧めです。

弁護士 佐山洸二郎

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