■ 労働審判とは?
「労働審判」という言葉は、例えば「民事訴訟」などという言葉と違ってあまり聞き馴染みはないものかと思います。
労働審判とは「未払賃金支払請求」「解雇問題」などの労働問題について、訴訟よりも迅速かつ柔軟な解決を図るために、2006年に導入された比較的新しい制度です。
労働審判が迅速といえるのは、1年以上も続くことが珍しくない民事訴訟に比べて、原則3回以内の期日の中で、約3か月以内に結論が出されることとなっているからです。
また、柔軟な解決が可能といえるのは、裁判官に加え2人の審判員が一緒になって問題点を検討し、法的観点のみに囚われない解決策を提案してくれることが多いからです。
未払賃金支払請求や解雇などの労働問題の多くは、まずこの労働審判によって話し合いが行われるケースが多くなってきております。
旅館・ホテルの経営上も、やはり労働問題は避けて通れないものだと思います。
問題が起こってしまった後の解決も重要ですが、一番望ましいのは…そもそも問題が起こらないような体制作りですよね。そのような仕組みを作るためには、契約書や就業規則、それ以外にも気を付けるべきことは数多くあります。普段から密に連絡をとれる顧問弁護士として、是非ご協力させていただければとおもいます!
―弁護士より一言―
「訴訟」だの「裁判」だの、はたまた「審判」だのと、似たような言葉が多くて非常に紛らわしいですよね。
有名なフランツ・カフカの「Der Process」という小説は、日本では長い間「審判」というタイトルで翻訳されてきていました。ところが最近ではその大仰な翻訳は馴染まないという意見も多く「訴訟」というタイトルでの翻訳も出版され始めているようです。
審判も訴訟も、このように好み一つで変わってしまうような曖昧な表現なのですね。
なるほどなぁと思う一方で、何だか…こちらも混乱してしまいますよね。
(文責 旅館・ホテル業界に強い弁護士 佐山洸二郎)
